医療機器で明日を創る フクダ電子

健康コラム

動脈硬化を防ぐおいしい減塩のポイント

栄養・レシピ
2023年12月01日
動脈硬化net 編集部
動脈硬化net 編集部

高血圧は、動脈硬化が進行する要因のひとつであり、動脈硬化に伴って発症リスクが高まる脳・心血管疾患の原因にもなります。高血圧を改善するための減塩のポイントを紹介します。

食塩の摂り過ぎが血管に与える影響

血圧が上昇する原因はいくつか知られていますが、食塩の摂り過ぎは、血圧上昇の大きな原因となります。

人の身体は体内水分のナトリウム濃度を一定に保とうとするしくみになっています。そのため、食塩が多い食事の後は、のどが乾いて水分摂取量が増えます。水分を多く摂ることでナトリウム濃度は低下しますが、体液量が増えて血液量が増加します。血液量が増えると心臓から強い圧力で血液が送り出されるため、血圧が上昇します※1。 また、血圧が高い状態が続くと、腎臓に負担がかかり、腎機能が低下していきます。血液のろ過や老廃物の排泄機能などを担う腎臓の機能低下が慢性的な高血圧を招くといわれています※1

減塩を習慣づけるポイント

血圧を下げるためには、食塩量を減らす食習慣を身につけることが重要となります。「日本人の食事摂取基準2020年版」では、高血圧の予防、治療のためには食塩摂取量を6g/日未満にすることが望ましいとされています※2

しかし、これまで食塩の多い食事をしてきた人のなかには、6g/日未満に抑えるのはハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。いきなり6g/日未満にするのではなく、減塩の調味料に変える、麺類の汁を残す、香辛料や香味野菜、果物の酸味を活かしたメニューを選ぶなどの工夫をしながら、徐々に減塩生活に慣れていくのも一案です※3。旬の食材を使ったメニューなど、素材のうま味を活かした食事を心がけることも、減塩につながります。

また、全ての料理を薄味にするのではなく、1食に1品はこれまでと同じ味つけにするなど、全体で食塩摂取量を調整することも減塩の継続に役立ちます。

外食やスーパーマーケットのお惣菜などはメニュー表やパッケージなどに記載されている食塩量をチェックして、できるだけ食塩を使っていないものを選ぶようにしましょう。 食塩摂取を控えるとともに、意識したいのがカリウムの摂取です。カリウムは、食塩(ナトリウム)を排出する作用があります。カリウムは野菜、イモ類やバナナなどの果実、ナッツ類、豆類などに多く含まれています。食塩を減らすとともにカリウムも不足しないようにバランスよく摂りましょう。また、水分も適度に摂ることが大切です。

しっかり食べておいしく減塩レシピ

マスタードパン粉焼きとヤングコーンソテー

マスタードパン粉焼きとヤングコーンソテー

マスタードパン粉焼き

●材料:1人前

  • 白身魚 小1切れ
  • 塩 少々
  • 白こしょう 少々
  • サラダ油 小さじ1/2
  • パン粉 大さじ1弱
  • パン粉 大さじ1弱
  • オリーブオイル 小さじ1弱
  • 粒マスタード 小さじ2/3

●つくり方

(1)   白身魚に塩、こしょうで下味をし、余分な水気を拭きとって8割程度火が入るまで焼く
(2)   パン粉とオリーブオイルを混ぜ、しっとりしたところに粒マスタードも加えて混ぜておく
(3)(1)に(2)を乗せ、きれいな焼き目が付くよう焼き上げる

●減塩&調理ポイント

・サクサクに焼けたパン粉の食感と、香ばしさ、粒マスタードの辛みで薄味でもおいしく食べられます。
・白身魚は、サラダ油を塗ったアルミ箔やクッキングペーパーに乗せ、グリルかオーブントースターで焼くと便利です。


<ヤングコーンソテー>

●材料:1人前

  • ヤングコーン(缶詰) 2~3本
  • にんじん 10g
  • 白ワイン 香りづけ程度
  • オリーブオイル 小さじ1/2
  • 塩 少々
  • パセリ(みじん切り) 小さじ1/3

●つくり方

(1)   ヤングコーンは食べやすい長さに切り、にんじんは皮をむいて短冊切りにする
(2)   フライパンにオリーブオイルを熱し、(1)を入れて炒め、白ワインで香りをつけたら塩で味を調える。みじん切りのパセリを加えてさっと火を通したら器に盛りつける

減塩&調理ポイント

オリーブオイルとワイン、香味野菜のパセリの香りを活かします。食塩の代わりにカレー粉やガーリックパウダーを使うと、さらに薄味でも物足りなさを感じにくくなります。
(レシピ/写真提供:土井悦子先生)


取材・監修:土井悦子 先生
虎の門病院栄養部 部長

女子栄養大学栄養学部卒業後、虎の門病院栄養部に入職。2017年、栄養部部長に就任。日本病態栄養学会理事、日本動脈硬化学会栄養部会員、腎臓病療養指導士・研修教育委員、日本糖尿病療養指導士認定機構・カリキュラム委員などを務める。